2022.09.01

耕作放棄地を森林に戻す

当別町に青山と言う地区があります。

昔は林業で栄えた場所で、遊郭があり、や鉄道も走っていて、小学校も四つはありました。

しかし今では酪農家の一軒しかありません。

当別ダムが青山地区南側に計画されたのが1980年、それから完成の2012年までに立退補償を受けたダム上流部住人が市街地に集団移転してきました。

残った農地は牧草地か耕作放棄地になりました。

牧草地は役に立ってるから良いけど、せっかく開拓した耕作放棄地が使われないのはもったいない。

であれば森林に戻した方がCO2削減にも貢献できるし、良いのではないか?

当別町森林組合の事業として農地を森林に転換する取り組みを始めました。

問題は費用負担。
地主が林道を作ったり、雑草をはいだり、苗を植え、草刈りをし、間伐と皆伐する施業費用は出せない。

そこで次の様なスキームを考えました。

まず、農業委員会に現地が耕作できない状態である事を認めてもらい、農地からの除外と地目を森林に変える手続きをする。

次にその場所を水源涵養保安林に指定してもらって、持ち主が将来、発生する木の販売代金の一部を支払うという分収林契約を森林整備センターと結ぶ。

そうすると上記の施業費用を森林整備センターが負担してくれる。
こう言うスキームは森林整備センターと言う組織とその仕組みを知らなければできませんが、当別町は役場があちこち森林整備センターと分収林契約をしているので、思いつく事でした。

一度、このスキームを確立すればまとまった耕作放棄地を森林に戻すことが出来る。
その森林は当別ダム上流で水源涵養保安林となり、治水や水質向上に役立ってくれる。

もともと畑だから勾配が緩やかで仕事もしやすい。

当別町森林組合として手がける価値ある事業だと思いました。
2年前から手がけてきたこの構想がやっと着手されてます。

青山一番川地区の元農地の雑草をめくり、道路をつくり、苗を植える準備をしてます。

雑草をめくる前の状態はこんなです。ササやイタドリが生い茂ってます。

これから先は林業の腕の見せ所となります。
一旦畑になったところは木が育ちづらいと言われます。

なので現地の草の生え方や水の湧く場所を見ながら、木が育ちやすそうなところを確保し林道をつけていきます。

着工してる場所は農地の森林転換事業の第一号。

現在、第二号の手続きが始まってます。

一号、二号合わせると約50haくらいは耕作放棄地を森林に変える事ができます。

人間の都合で使われなくなった耕作放棄地をCO2吸収源や水源涵養保安林として森林に戻す。地元雇用も確保できる。

当別町森林組合としては青山地区全体を見通し、秩序ある森林転換を図っていきたいと考えてます。

この投稿を共有する
  • Twitter
  • Facebook
アーカイブ
一覧へ