当別田園住宅プロジェクトの概要

辻野建設工業では、土地探し・家づくりから当別町での暮らしをサポートする「当別田園住宅プロジェクト」に取り組んでいます。
北海道らしい風景にあった暮らしを実現し、その営みの中から新しい生活価値観を創り出すことをコンセプトに、1年を通して快適に過ごせるような高い住宅性能と、当別町の風景に溶け込むデザインをご提案します。

当別町は札幌市中心部から約25㎞という至近位置にありながら、豊かな自然に囲まれた町です。近年は主要国道の整備が進み、札幌市・江別市など近隣都市圏との交通アクセスは、さらに便利になりました。JR学園都市線にて当別ー札幌間は約35分、太美駅まで約28分と、通勤にも程よいベッドタウンとして選ばれる方も多く、こういった立地条件の良さと自然環境を生かしたまちづくりを積極的に行なっています。

当プロジェクトの住宅は、当別町の市街地から約4㎞北東に位置する金沢地区という場所にあります。山すそを町道(旧国道275号線)が通り、JR学園都市線(2020年に北海道医療大学以北が廃止になりました)や国道275号線が走っています。近年の農業従事者の減少に伴い地域全体の人口も減少傾向にありましたが、このプロジェクトによって延べ28棟(2019年現在)、約80人以上の方が当別町で新しい暮らしを始めています。多くの住宅が建ち並んだ今、プロジェクトは北海道らしい新たなライフスタイルへの一歩を踏み出しています。今後も自然体でありながら強い信念を持ち、コミュニティづくりにチャレンジしてまいります。

プロジェクトの進め方

ステージ1:プロジェクトの構想・企画・事業化(当社)
  • 事業理念の構築と改善
  • 土地利用計画の作成
  • 地元コンセンサスの取りまとめ
  • 候補地の取得
  • 広報活動
ステージ2:住まい手の皆様のニーズ(お施主様)
  • 終の住み処探し
  • 子育て環境探し
  • 自己実現の場探し
  • 田園暮らしの具体化
ステージ3:都市近郊型田舎暮らしへの第一歩(お施主様+当社)
  • ライフスタイルの設計
  • 土地取得決定
  • 敷地利用計画
  • 住宅設計、建設
  • ネットワークづくり&コミュニケーション
ステージ4:田園内での新しい生活スタート
  • 農的な暮らし
  • 小動物との共生
  • 起業、アトリエ、創作活動
  • 広大な土地で好きなことを実践
  • 気の合う仲間と気ままな暮らし
  • 自然の中で子育て
  • 目の前に広がる田園風景
  • 里山と共に暮らす
  • NPOへの参加
  • 忘れかけていた自然への思いを取り戻す
  • 近所の農家さんとの付き合い
  • エネルギーの自給自足

7つのコンセプト

農的な暮らし&小動物との共生

農的な暮らしというと壮大なイメージがあるかもしれませんが、その第一歩として検討する方が多いのは、野菜の自家栽培です。一般的な消費行動から考えると、野菜はスーパーで買うものであり、つくるものではありません。しかし、一旦そのあり方に疑問の目を向けると、自分たちが食すものは自分たちでつくってみようという気になるのではないでしょうか。
太陽や雨に感謝しながら自力で育てた野菜を食べる満足感は、暮らしにおいてとても意味のあることだと思います。当別田園住宅に住む住人の方の中には、自宅の庭先に畑を持ち、クワを手に健康な汗をかきながら農作業を営んでいる人がいます。小動物に雑草を食べられた後の草地はきれいに背丈がそろい、動物の糞が蒔かれた土は動物自身の足で地面にくい込み良質の天然肥料となります。
プロジェクト第1期のお宅では2006年から羊を2頭飼い、その後2頭の子羊が生まれました。現代人と小動物との共生はいかなるものかが、今後検証されるものと期待します。

農的環境下での仕事

移住を考える際、当別の豊かな自然で育つ素材を使って起業できないかという発想もあると思います。今まで当別田園住宅を検討された方の中には、蕎麦屋やカフェの開業を目指す方もおられました。地域の農業を食産業などのサービス業の側面から支援する、そういった旧住民(農業)と新住民(サービス業)が連携をとって地域農業全体の底上げを図ることができれば、とても意義深いことであると思います。
一方、地域の産業と連携せずとも田園の中で仕事としての創作活動はおおいにあり得ることです。文学者ジョージ・バーナード・ショーは、菜食主義者であり、ロンドン郊外の村で小さな庵のような小屋にこもって執筆活動をしたといわれています。2006年に完成した第5期の「里山のアトリエ」では、洋画家がこの地に住むことになりました。「田園文化を創造する」ことはこのプロジェクトの目的の一つでもあります。この地にアトリエができて今後、地域の文化度がどう高まるのか?今後の取り組みに期待が高まります。

広い土地の教育効果

住宅用地を選ぶ時の最大決定要因の一つとして、職場との距離などが挙げられますが、果たして交通の便のいいところが生活のしやすさに直結するでしょうか?毎日目にする窓からの美しい景色、四季の変化が感じられる周辺環境こそが、豊かな暮らしを実現するための重要なウェイトを占めるのではないでしょうか?これから土地を持とう、家を建てようという多くの方には、今の仕事はもちろん、退職後の生活、子育てにいい環境、子育ての期間など、もっと多様な視点で土地を選んでほしいですし、既存の考え方に流されず、何が大切なのかを考え、本質的な土地選びをおすすめしたいと考えます。
次に土地の価値の本質を考えてみましょう。土地は、遊び場・商売・畑などいろいろな使い方ができます。広い土地はその面積に見合う可能性を人に与えます。当別田園住宅の敷地の広さは平均600坪以上となっております。皆様見事に土地を生かしていますし、これからもその土地をさらにどう生かしていこうかという夢を持っています。

良き隣人関係

当別田園住宅ではいい隣人関係を築く仲間が集まっている状態です。それは、基本的に田舎暮らしが好きという趣味が一致していることによります。除雪の問題や虫やネズミなどに対する共通の問題意識、薪集めや畑起こしなどの共同作業で連帯意識が高まっているようです。また、土地選びや建物設計・土地利用に関してコーポラティブ方式を参考にしており、原則、建てる前からお互い顔見知りになる機会を設けています。
最近は住人の皆様が一度に会すると社風や校風に近い一種独特な「場」の雰囲気が漂います。これが後々に住民文化や地域伝統を形成する初期段階ではないかと思います。エコロジーな暮らしへの関心も住民の共通意識としてあり、たとえば下水処理に関しては、合併浄化槽の処理後の水を側溝へ放流していますが、蛍もいる側溝ですので、なるべくなら汚染させたくないという気持ちで石けんや洗剤に関していろいろと環境負荷のない種類を吟味して使用している方が多いようです。

子育てと自然環境

田園住宅に住む一人であるエコロジストの考え方の基本は、レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」、つまり感性教育です。自然の細やかな変化や動きを感じ取る感性は大人になってとても大切な能力で、自然の中で子ども時代から育てていこうという考え方です。当別田園住宅は小・中学校からは5~10㎞程度離れていて通学を考えれば不自由な側面があります。また、通学以外にも塾や習いごと、クラブ活動などさまざまな活動の送り迎えでは親御さんの負担は多いかもしれません。
家を建てる場所選びの条件として近くに同世帯の子どもがたくさんいるか?という条件があります。もともと人口の少ない金沢地区では同世代の子どもは少なく、もっと同じ子育て世帯を増やしてほしいという意見が多く出されております。現在いる子どもたちが将来どんな大人になっていくのかがとても楽しみです。育ってきた環境がきっと彼らによい影響を与えてくれる、いつか彼らが大人になった時に彼ら自身の口から子ども時代の感想を聞ける日が楽しみです。

景観のある暮らし

近年よく耳にする「景観を大切に!」という言葉があふれる割には、その意識が社会には広く浸透していないようです。景観問題はまさに公共問題の典型でありますが、景観が価値であるという考え方は乏しいように思います。果たして誰が景観問題を解決できるのでしょうか?北海道に対する外からのイメージを考えてみましょう。北海道は「広い」「道路がまっすぐ」「手つかずの自然がある」「空気が綺麗」などです。
ですが北海道の景色に見合った建物とはどうあるべきか?という検証はあまりなされてきませんでした。当別町のスウェーデンヒルズは、北海道的な自然を生かした町並みへのパイオニア的取り組みです。金沢地区には北海道を象徴する景観素材がそろっています。それぞれの家々の個性を大切にしながら、シルバー色の三角屋根というデザイン統一を図り、自然と調和した町並みをつくろうとしています。当別田園住宅の町並みは国道275号線から遠くに見ることができますが、その景観は見る人の目を楽しませていると思います。

里山の活用

北海道は雪が多く寒さもあり、里山文化というものがない地域ではありますが、さまざまな可能性を秘めていると考えています。まずは、森林の効用です。当別田園住宅では、ほとんどの家で飾りでなく実用として薪ストーブを焚いています。これはひとえに住宅の断熱性能の向上が背景にあり、薪ストーブ1台の熱を逃がさないような高断熱な家づくりが可能になっているということです。また薪ストーブの家は、灯油価格が高騰した場合でもほとんどその影響を受けません。
もう一つの効用に生物多様性の考え方があります。奥深い森林地帯では動植物は野生に近い状態で生息していますが、それ以外ではほとんどの動植物が人間と何らかの形で影響し合って生きています。里山は野生世界と人間社会の接点のゾーンとなり、人間と自然の共同作業によって生まれる固有の生態系が存在します。本州では農村の荒廃、耕作放棄農地の増加によって里山が荒れていると聞きますが、北海道では今まで手つかずな分だけ里山が発展する可能性があると思います。