家づくりや暮らしのあり方を和の精神から考えてみようとし、和の精神には「生き甲斐」が関係あるのではないかと「生き甲斐」の本を2冊読み、そういえば「面白さ」というのも「生き甲斐」に関係あるのではと思い、面白さに関係ある本を読んでみた。
つまり「面白い」と思える状態は「生きてて良かった」と思う「生き甲斐」につながるのではないかとの仮説。
読書というのは著者の背景を合わせて読むのが醍醐味でもある。
この本の著者の森博嗣さんは大学助教授を定年前に辞め小説家になった経歴の持ち主。
こういうマルチな方の感性が参考になる。
森さんは本の中でこう言います。
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面白さを見つけるには、問題を見つけること、解決に工夫をすることの2つの段階がある。
日常の中でちょっとしたひっかかりをまず見つける。
これはどうしてなのか、何か変だなと言う問題である。
そしてそれを笑えるものに加工したり、新たな観点から解決策を提示したりと言う工夫をすることで面白いと大勢が感じるものが出来上がる。
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さらに
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面白さを作るには、小さな新しさを見つけて、それを育てることである。
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と言います。
さてここまで考えてきて想起されるのは徒然草と枕草子。
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つれづれなるまゝに、日くらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ(徒然草)。
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秋は夕暮れ。夕日の差して山の端いと近うなりたるに、烏の寝所へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。
まいて雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず(枕草子)。
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現代においても暮らしは小さな発見、気づき、それらの共有や加工に満ちている。
開けた窓から聞こえるうるさい鳥たちの声、暑い寒いと家族での会話、雨音や朝日の陽射しが家に入り込む、季節で変わる虫の声(ちなみに今はコオロギの季節)。
これらをインスタにあげたり、ブログやnoteに書く人もいる。
その辺の感性は日本人の中で平安時代から引き継がれている。
とっ散らかった考えですが、ひとまず家づくりと言う原点に戻ると、窓の位置や大きさ、素材の表情、空間のサイズ、視線、動線、居場所などが住み人の暮らしと呼応して、面白さ、ひいては「生き甲斐」が生まれる環境となる事が望ましい。と思う。