私が大学四年生だった時、卒論、卒業設計にはそれなりのエネルギーを費やしましたが、現在でも卒業〇〇と名のつく場面には金銭に変えがたい貴重なエネルギーが注がれています。
なので私はかれこれ4、5年通っているbisen(北海道芸術デザイン専門学校)の卒業制作展を楽しみにしています。

今年はbisenに入学しフラワーデザインを学んでいる大学同期の人が2年間の学びを終え卒業すると言うので、彼女(Tさん)の作品をいの一番に見に行きました。
さすが建築出ですね。
和風建築を彷彿させる木枠組みに大胆な白と赤の渦巻き状の穂を並べた、舞や踊りを思わせる粋な作品でした。

在廊予定でなかったTさんがたまたまいたので、T さんが受賞した賞のいわれや卒業後の予定などを聞くことができました。
T さんと一緒に鑑賞したイグアナの絵。
精巧でリアルな絵だなと思ったら「これ描いた子、ほんとにイグアナ飼ってるんだよ」とT さんが教えてくれました。

その後、家具工房「旅する木」で働く「くどけん」を発見。
「くどけん」はbisenのOBで、卒業7年目でも義理がたく卒業制作展に顔出ししてるようです。
その「くどけん」と一緒に見た「interlock」と言う作品、これはすごかった。

イラストレーターで硬い板に書いた設計図をくり抜いて作った歯車を組み合わせたカラクリ細工。
この才能は社会ですぐに使えそう、と思いました。

建築デザイン課の作品。
タイトルは「感受~紡がれる歴史と自然~」。
函館の五稜郭は有名ですが、四稜郭ですって。

旧幕府軍は五稜郭の鎮守である北海道東照宮を守るため、五稜郭の北方約3kmに洋式台場「四稜郭」を造成しました。
この作品は四稜郭を歴史を感じ、五感を研ぎ澄ます場として再生するプロジェクト。
卒業制作展の見どころはテーマの独創性やアイデアの豊かさです。
社会に出た後、自由な発想が抑制される現実を変えることはできないものかと思ってしまいます。

無数な蝶々が。

マルチメディアデザイン学科生徒の作品。
「味噌作り体験 味噌美希 公式Webサイト」

おー、味噌だ。

ちょうど今、つじの蔵で幻のクラカケ豆で味噌玉を作って冷凍自販機どひえもんで売る「当別味噌物語」と言うプロジェクトに取り組んでる最中。
この生徒は味噌作りの楽しさを伝える動画、説明チラシ、Webサイトを作ったわけだが、発想の原点はつじの蔵と近しいぞ。
映像作品「ハクチュウム」はプロ並みなアニメ。

立体キャンバスにシュールなイメージを投射する映像作品は斬新で完成度の高いアート作品だったな。

という事で今年もbisen卒業制作展を堪能しました。
生徒の能力はピンキリで、ワガママや駄々っ子もいるそうですが、彼らの能力を活かしマネタイズする度量が社会や企業側にあるのだろうか。
無いとすれば日本の社会は逸失機会だらけ。
能力ある生徒と成長する企業・組織が最適にマッチングし、社会をよりよく変革する仕組みができたらさぞかし素敵だろうな。