最初にご説明いただいたのはハスカップとブルーベリーについて。 ハスカップはもともと勇払原野など北海道に自生していた果樹で語源は「実がたくさんなる」という意味のアイヌ語、「ハシカップ」。 耐寒性に優れているので栽培しやすい果樹です。後で出るブルーベリーやアロニアと同じく最近そのアントシアニンやポリフェノールなどの機能性について注目されています。 ブルーベリーも近年、栽培事例栄が増えています。
ブルーベリーはそのまま食べれて冷凍がきき、ジャムにもなるので用途が広いそうです。 ブルーベリーの場合、土壌が酸性である必要があります。ですから、植樹する場合は土を掘り、その中にピートモスを入れると良いそうです。更にはブルーベリーは乾燥に弱いので水もちが良く、かつ水はけの良い土壌が望ましいということからもピートモスが良いそうです。 水持ち対策としてブルーベリーの根元に稲藁やもみ殻、のこ屑を敷き詰めることがあります。本格的な栽培農家は冠水設備を設置しますが、そうすると格段に成長するのだそうです。 小果樹は花がたくさんなります。 しかし最初の年から実がなるからといって、すぐにとってしまってはいけないそうで、まずは「木を作る」ということである程度、木を成長させる必要があるので最初の年は我慢し、実は採らない方がよいのです。 ブルーベリーは地面に直接植えてもよいのですが、鉢植えもします。 こちらの果樹園では鉢植えして冬は鉢を倒して雪の下にしている10年物のブルーベリーがありました。雪の下にしても枝はさほど折れなく、更に雪の下でもそうそうネズミに食べられないそうです。 ブルーベリーの収穫時期は7月20日くらいから9月10日くらいまで。 5年物で1本、1シーズン、3〜5kgの実が収穫できます。 ブルーベリー農場では1a当たり200本くらい植えるそうなので、1シーズン1aあたり1000kg収穫。販売単価が2000円/kgとすれば200万円/aとなり、高収益作物ではありますが、収穫に手間がかかるということでお客様自らがもぎ取りする体験と組み合わせると経営的には楽だそうです。 さらに言えばイチゴやハスカップ(収穫時期6月下旬〜7月上旬)、ブドウ、ナシといくつかの種類を組み合わせた体験果樹園が経営的な理想だそうです。
そうえば昔、生物の授業で学んだかもしれませんが、成長には「栄養成長」と「生殖成長」の2種類があります。「栄養成長」は幹や枝葉が伸びるような成長、「生殖成長」とは花や実がなるような成長で、果樹を栽培する場合、この「栄養成長」と「生殖成長」の2つのバランスを上手にとることがコツだそうです。 成長をコントロールする手法が剪定。 この剪定はちょっとお聞きするだけでずいぶん奥深い知識だと感じました。剪定には枝の途中から切る「切り返し剪定」、枝の根元から切る「間引き剪定」があります。枝は途中で切られると「伸びなさい!」と言われたと思いますので枝を伸ばしたいときは「切り返し剪定」をします。
ブルーベリー、ハスカップのほかのこちらの果樹園にはベリー類としてアロニア(チョークベリー)、ジューンベリー、サスカトゥーンベリー、シーベリー、グスベリー(セイヨウスグリ)などがありました。 シーベリーは最近、苫小牧の建設業者の遠藤組さんが農業参入で栽培しています。果実にはビタミンCが豊富で、ビタミンA、ビタミンE、さらに果物としては珍しく油脂を含むそうです。 ベリー類の次はナシとリンゴ。 まずナシについてですが、ナシはもいだすぐはあまりおいしくないそうですね。今回、初めて聞いた言葉に「追熟」がありました。追熟(ついじゅく)とは、一部の果物などを収穫後、一定期間置くことで、甘さを増したり果肉をやわらかくする処理のことです。 ナシの食味には追熟技術が大きく影響することを知りました。
リンゴ。 最近のリンゴの苗ですが、背があまり高くならない矮性種がお勧めだそうです。М26とかМ9というリンゴの矮性品種があるそうですが、これらの苗はなかなか北海道では手に入りづらいそうで、野村園芸農場(青森県三戸郡五戸町虫追塚前22-2 電話 0178-62-6002)、株式会社 天香園(山形県東根市中島通り1-34号 電話 0237-48-1231) などの苗木屋さんから購入するのが良さそうです。