貝澤さんは普段はエコツーリズムのガイドとして山歩きをすることが多いそうです。アイヌの方は山に入る時、米や麦などのお土産を持っていくそうです。また腰にひもを巻き山の悪い神(ウエンカムイ)を追い払うのだそうです。悪い山の神がついてくるので呼び合うのに人の名前は呼ばないそうです。
アイヌの主食はサッペ(サクラマス)、チェプ(サケ)などの魚なので川の近くに住んでいました。 アイヌの人はひもを作るのにオヒョウニレやシナノキを使いました。木の皮を剥ぎその繊維をよってひもをつくりました。ちなみにカラマツはもともと北海道にはなかったそう。
このひもはチセという家の屋根を葺くときに使いました。ちなみにチセは掘立小屋ですが、土に接する部分には腐りづらいドスナラやハシドイ、エンジュなどの木を用いました。また、チセにその原理が多用されている工法として「三脚」があります。3本の木を組み合わせて1tの石を持ち上げる強度にできます。
昨日はアイヌの薬(ちなみにアイヌ語で薬はクスリと呼ぶそう)のいくつかを紹介していただきました。朝鮮五味子(レプリハ)、ヒトリシズカ(イネハム)を煎じたお茶をいただきました。レプリハは神経痛に効くそうですがなかなか刺激的な味でした。アイヌの中で特に大事な植物はアイヌネギ(キトピロ、行者ニンニク、プクサなどいろいろな呼び名があります)。魔除けや薬に使いました。
アイヌネギは当別にも沢山ありますが、種が落ちてから一枚目の波が出るまでに4年かかります。その葉が4枚になるのが7〜8年目。ですからアイヌネギをとるときは4枚葉のうちの2枚をとるのがよいそうです。最近、有名になっている「イオル」ですが、はじめてその意味がわかりました。「イオル」とは衣食住から儀式まで、生活に必要なものをすべてまかなう領域のこと。川の支流が一つの「イオル」を形成していたそうです。「イオル」の考え方は現代人にとっても循環型暮らしを考える上で重要なヒントになりそうです。 ということでアイヌの自然を敬い、謙虚で素朴な暮らしぶりと比較すると、我々がいかに自然に対して横暴な振る舞いをしているのか・・・と反省させられました。